- 作成日:2007-07-04 23:00:43 (中原 雄一) | 更新日:2007-07-04 23:00:43 (中原 雄一)
1.スポーツ傷害について
スポーツ傷害とは、スポーツ活動によって発生するケガのことをいいます。
スポーツ傷害は、以下の2つに分けられます。分類の方法については研究者によって分かれます。
<<スポーツ外傷>>
たった1回の、あるいはわずか数回の大きな外力によって発生する傷害です。
または1回or数回の内的作用による力によって発生します。
この場合、発生原因は極めて明らかです。
例として、突き指、捻挫、肉離れ、筋断裂、脱臼、鎖骨などの骨折、脱臼、創傷などがあります。
<<スポーツ障害>>
エクササイズ・トレーニングを継続することによって、軽度の外力が繰り返し加わった結果発生する傷害です。
このような傷害は発生原因が明確ではありません。
例として、腰痛、シン スプリント、疲労骨折、ジャンパー膝、野球肘、テニス肘、水泳肩などがあります。
2.発生原因
スポーツ傷害の多くは、1つの発生原因によるものではなく、いくつかの原因が重なり合って起こるものだとされています。
<<スキル不足>>
スポーツ、エクササイズ動作に対するスキル(技能)が十分に養成されていないことによって起こるもので、初心者に多いといえます。
例えば重量物などを扱う場合など、一番初めの段階では負荷をかける以前に「フォームを習得する」ことが大切であるといえます。
<<能力の過信・無謀なチャレンジ>>
過去に運動経験のある方、体力に自信のある方に多い原因です。
運動の間にブランクがあると、体力は必ず低下しています。それを考慮せず、昔のつもりで運動を再開することがとても危険なのです。
フィットネス インストラクターにとってもこのようなタイプの方を扱うのが一番難しいといえます。時間をかけて、運動に対する認識をお持ちいただくしかありません。
<<疲労・不調・睡眠不足>>
身体が疲労している状況にあると、思う様に体を動かせず、スポーツ傷害の原因となることがあります。
過去に睡眠不足で運動をしたところ、スクワット中に転倒して死亡した、という事故がありました。
また、研究者によると「なんとなく体調が悪い」というのは危険性が高いのだそうです。このような場合、運動をお休みする勇気を持ちましょう。
<<オーバーワーク>>
過度な運動に体が耐えられず、傷害を引き起こすものです。
スポーツクラブで多いのは、「楽しいから」と、1日に何本もエアロビック ダンスのレッスンに参加し、シンスプリントや疲労骨折を起こすケースです。
せっかく楽しい種目を見つけたのに、傷害が発生してしまっては、治るまで何カ月も休まなければなりません。
長期的に計画することが必要です。特にプログラムを変えたさいに急激に負荷を増やすことがないよう、注意してください。
<<環境の問題>>
温度の低い環境下では、さまざまな傷害を起こしやすくなります。
また、高温多湿の環境では熱中症を起こしやすいという問題もあります。スポーツ傷害の側面からみても、転倒時に打撲傷を負うことがあります。
また、床が傾いていたり、凸凹であったりしても危険です。
過去に、土の上に何度もバーベルを落としてしまったために地面が凸凹になり、それが原因で転倒して死亡事故が発生したケースがあります。
そのほか補助者をおかずに仰向けのウエイト トレーニングを行うことも危険といえます。過去に自宅でトレーニングをしていた人が、首の上に100kgのバーベルを落とし、窒息死したという事故もありました。 このようなトレーニングを行う場合は、必ず補助者をつけるべきです。
<<設備・器具・用具の欠陥>>
トレーニング機器の欠陥、整備不良などによっても起こります。
エアロビック ダンスにおける床の素材、構造、シューズなどによって障害が発生することもあります。
スタジオの場合、熱気のために内部の湿気が上がり、床が滑りやすくなることがあります。注意しなければならないとともに、インストラクターの管理や動きのコントロールも必要不可欠な対処となるでしょう。
<<運動方法の誤り>>
ICOでも紹介していますが、「危険性の高い種目」は他の種目に比べると傷害の発生確率が高くなります。
また、正しく行えば安全な種目であっても、フォームを誤ればさまざまな傷害の原因となってしまいます。正確なフォームをマスターする必要があるといえます。
<<集中力の欠如>>
運動中に集中力が途切れてしまうことが傷害の発生原因につながります。
過去にあるスポーツクラブで、ある男性がベンチプレスを行い、規定の回数をこなしたところでバーベルをラックに戻そうとしたところ、ラックをオーバーしてバーベルがその人の顔面を直撃した事故がありました。
その人は鼻骨を粉々にくだきましたが、命に別状はありませんでした。
このように、規定の回数をこなしたところで安心して起こす事故は比較的多いようです。最初から最後まで、例えばこのベンチ プレスの例でいえば、バーベルをラックから持ち上げる直前から、それを戻して確認するまでの間、決して気を抜いてはいけません。
<<ウォーム アップ不足>>
ウォーム アップというのは、身体を急激な運動負荷に突然さらすことがないように、段階的に負荷をあげる目的で行うものです。
このウォーム アップが不足していると、事故を起こす確率が非常に高まると考えられます。
主運動の前には、軽く血液を循環させる運動とストレッチングを十分に行っておきましょう。
<<ウォーム アップの過剰>>
ウォーム アップとして過剰なほどのストレッチングを行う方がいますが、ハードなストレッチングは、筋肉を無理に引き伸ばすことにより、筋線維に小さな損傷を起こします。この状態での強い運動は筋肉を痛める可能性を高くしてしまうのです。
<<コンディショニング不足>>
スポーツ種目を行うに当たって、必要な体力要素が十分に養成されていないとケガをしやすくなります。
エアロビック ダンスで起こる下肢のさまざまな障害について、あらかじめ下肢の筋力水準を高めておくことが予防につながることはよく知られています。
エアロビック ダンスの直前に脚部の筋力を鍛えるトレーニングをしてしまうと、筋力低下により各種障害を起こしやすくなります。筋力トレーニングはなるべくダンスのあとに行うか、別の日に行うようにするとよいでしょう。
<<不可抗力・突発事故>>
3. 私の経験から
<<スポーツ外傷>>
私自身も比較的最近スポーツ中に大きな怪我、つまり「スポーツ外傷」を負ったことがあります。「ICOの秘密」を読んでいただいている方はご存じかもしれませんが、初めてチャレンジするマウンテンバイクで4Xという専門的なコースに入り込んで、転倒したものです。この記事を書いている時点でほぼ3年が経過したことになりますが、左足首には強い後遺症を残していて、特に高いジャンプができなくなりました。このことから、自分のとった軽率な行動を非常に公開しています。これについて、その原因を考えてみることにしました。
- まずは、初めて走ったわけですから、これは「スキル不足」。当たり前のことですが、初めてやる人が専門的なコースを無謀なスピードで走ることには大きなリスクが伴います。このようなことになったのは、まさしく「能力の過信」にあったでしょう。
- 恥ずかしながら、初めてチャレンジするMTBのゲレンデダウンヒルに対して、興奮のあまりか前日ほとんど眠ることができませんでした。これによって「睡眠不足」という状況が発生していました。また、初めてだというのに、すでに7km強 x 4本のゲレンデダウンヒルをすませており、かなり心身ともに「つかれていた」はずです。
- このとき私が使ったのはレンタルバイクでした。実は、ブレーキの調子が悪くて、一度ブレーキを調整してもらったのですが、最後の4Xのコースではほとんど効きませんでした。このことによって私のスキルに対して過剰なスピードがついてしまったのです。また、私の装備はダウンヒルとか4Xではない、あくまでロードバイク用の装備だったのです。これは「器具・用具」の不備あるいは欠陥ですね。
- スピードコントロールに失敗し、高く飛びすぎて、通常両輪で着地しなければならない斜面に後輪から降りてしまったため、高く上がっている前輪に対する急激な下向きの力がかかって、地面にたたきつけられる格好になりました。さらに、私の重心は前のほうに行き過ぎていたので、バイクを抑えることができず、バランスを崩して転倒してしまったのです。これは私が「誤った運動方法をとっさに選択してしまった」といえると思います。また、披露のため、明らかに「集中力」が落ちてしまっていたのです。
私のケースでは、さまざまな要素が重なったアクシデントとなってしまいましたが、基本的に不可抗力や突発事故というのではなく、上記の原因をつぶせば防げた事故でした。
<<軽いスポーツ外傷 + スポーツ障害>>
現在も私をなやませているもので、スポーツ障害と呼べるものに右側の股関節痛があります。
とある講習会で対人のボディケア系の練習をペアで行っていたとき、相手の方の施術のときに若干の違和感を覚えました。そのまま私が適切なケアを行わなかったこともあって、毎日のストレッチを行う中で完全に悪化させてしまったのです。2001年に痛めて、今も悩まされている股関節痛…。
これらの経験については、一つは年齢的なものもあると思います。10代や20代のときの怪我とは明らかに違う…。それでも、現在の不調の大部分は、事前の準備や心がけ、その後のケアで防げたはずでした。
これから運動をはじめようとされる方は、ぜひ事故のリスクを最小限にとどめるために、注意深く計画してください。
参考図書:
『スポーツのケガ』 ソニー企業株式会社 フィットネス研究所
『スポーツ傷害』J.D.バージャロン、H.W.グリーン著、武藤芳照、高岸憲二監訳